365日をJ棟で

サラリーマンの諸々日記。買い物、音楽、日常。

生で観るライブから感じる、ライブ音源の難しさ。

ライブが好きだ。

スタジオ録音では生まれないような一期一会のプレイ、ライブならではの過激なアレンジ、プレイヤー同士の緊張感や会場の熱気。

ちょっとのズレや大きなミスも全部、ライブという魔法にかかればカッコよく聴こえる。

ライブの模様を収録したCDはたくさん発売されており、自分が行ったことのあるライブが音源化、映像化されると嬉しくなる。

しかし、ライブ感が伝わってくる、心がアツくなれるライブ盤に出会えることはそう多くない。大抵の場合、録音のバランスが微妙だったり、作品の完成度を意識するあまりこぢんまりしたセッションになってしまっていたり。生で観て最高だったライブが後で音源化・映像化され「なんか違うなぁ」と興ざめすることも何度かあった。

今日は個人的に好きなライブ音源をご紹介。

・Voyager Live by Night / Eric Harland Quintet

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今年の3月に丸の内コットンクラブで観た、エリック・ハーランドのカルテット公演。ちょっとした''恐怖''すら感じる、異様な程の熱気に気圧されたライブでした。2009年に行われたライブを収めたこの音源は、あの時に感じた空気感に限りなく近いです。
1曲目のTreacheryではソロを取るウォルター・スミスIII世を、周りの4人がハイプレッシャーで煽りまくる。スミスの煮え切らない感じの吹き方が苦手な人は一定数いるとは思うのですが(僕も生で観るまではそうでした)、この超絶怒涛のソロは圧巻ですヨ。
天才ジュリアン・ラージも当時まだ21歳。3月の公演では不在でしたが、先日ハーランドがアナウンスしたVoyager名義の新作には参加しているようです。

 

・Live / Pharoah Sanders

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聴きながら何度''YEAH!!''と叫んだかは分からない。1981年に録音された、ファラオ・サンダースのライブ。好きな時代に行って好きなライブを観てきていいよ、と言われたら、候補に上がるライブの1つ。
1曲目のYou've Got To Have Freedomが全て。終盤、メンバーの名前を連呼しまくるファラオすらも滅茶苦茶カッコいい。
ファラオ以外のメンバーは全員亡くなってしまっているため、二度と聴くことが出来ないのが残念。映画''Whiplash''のラストで主人公が繰り出したドラムソロは、この曲のイドリス・ムハンマドを参考にしたんじゃないかな、ってぼんやり思う。(設定ではバディ・リッチ狂だから、それはないか)

 

・Jun Fukamachi & The New York All Stars / Jun Fukamachi

open.spotify.com1978年に東京で行われた深町純&NYオールスターズのライブ音源。大層なアルバム名…どうせ大したメンツでもないんでしょ?とナメてかかることなかれ。
深町純(Key)
マイケル・ブレッカー(T.Sax)
・ランディー・ブレッカー(Tp)
デイヴィッド・サンボーン(A.Sax)
・スティーヴ・カーン(Gt)
・マイク・マイニエリ(Vib, perc)
リチャード・ティー(Key)
アンソニー・ジャクソン(B)
スティーヴ・ガッド(Dr)
日本人ミュージシャンなら、この中の1人と共演できたら、プロフィールに書けるレベル。クロスオーバーの黎明期を支えたレジェンド達。その人たちを従えてリーダーライブを行った日本人がかつて存在したのです。
録音は良いし、曲も演奏も最高に良い。日本におけるクロスオーバー~フュージョンの歴史を知る上での重要作品だ、と思います。

 

 ・Worth Fighting For / Brian Courtney Wilson

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ゴスペルシンガーブライアン・コートニー・ウィルソンのライブ盤。
タワレコのクリアランスセールで発掘した良盤。新品未開封で300円だったかな。
ブライアン・コートニー・ウィルソンの歌唱力、ゴスペルクワイアの迫力、チャーチ出身のバックミュージシャンのキレッキレの演奏。
アルバムのほとんどがバラードですが、1,2曲目は明るくポップな曲調で親しみやすいはず。ちなみにリズム&ドラム・マガジン5月号のゴスペルドラマー特集でも紹介された、カルヴィン・ロジャーズがドラムを担当しています。

 

…好き放題に書き連ねたけれど、やっぱりライブの良さは目の前で観てナンボ。自分にとってプラスになるものであれば、なんでも積極的に吸収していきたいものです。

どんな先生であっても、生徒に「体験」を教えることは出来ない。僕たちは「知識」「出発点」「インスピレーション」「指導」「新しいボキャブラリーを得るためのきっかけ」「(演奏の)スタイル」等を与えることは出来る。でも「体験」だけは教えることが出来ないんだ。自分の足で出かけて、自分の身をもって感じることでしか、得られないものがあるんだよ。

大好きなベーシスト、ヤネク・グウィズダラ氏の言葉で〆。