squaredjacketsのブログ

365日をH棟で

音楽が好きな大学院生。ジャズをメインに色々…

Voyager / Moonchild

6ヶ月もブログを更新していなかった。やってしまった。
忙しい、という訳でもなかったのですが、三日坊主のスキルはSランクを獲得しました。
いつの間にか大学を卒業し、今は大学院生です。この大学には、もう2年お世話になるわけですね。

最近では、関西発のジャズ情報誌『Way Out West』にて、新譜をレビューするコーナーにちょくちょく寄稿させていただいております。フリーペーパーですので、見かけた際には是非手にとって見てください。タワーレコードや各レコード店、ジャズ喫茶等で手に入ります。

jazgra.com

というわけで、しばらくサボっていたブログも再開したいと思い始め、溜まりに溜まっている新譜&コンサートのレビューをまたチビチビと書いていくことにしました。今年は、といってももう上半期は終わってしまいましたが、がんばるぞ。

さて、今回取り上げるのは…

Voyager / Moonchild

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Amber Navran (Vo, Key, T.Sax, Flute, Clarinet)
Andris Mattson (Key, Tp, Flh, Programming)
Max Bryx (Key, A.Sax, Flute, Clarinet, Programming)

Tru Thoughts Records (2017)
https://thisismoonchild.bandcamp.com/album/voyager

4月某日、サンダーキャットの大阪公演。
開場と同時に入場し、前から2列目のド真ん中という最高の場所を確保するも、開演まで1時間、同伴者なし、地下のためスマホは圏外、スタンディングで飲み物片手、トイレも近い。
そんな地獄の状態で開演を待っていたのですが、開場内で流れているBGMがどうも気になる。優しい女性ボーカル、メロウ、オシャレ、ビートが黒い、今っぽい。良いじゃん。サンダーキャットのライブは言うまでもなく最高だったのですが、開演前に流れていたあの女性ボーカルも忘れられない…

で、気になるその正体が、LA発の3人組、Moonchild。先日、3rdアルバム''Voyager''がリリースされました

既にYouTubeの公式チャンネルにアルバムがフルでアップされているので、とりあえず聴いていただくのが早いと思います。以上。バイバイ。

Voyager / Moonchild

エレピ、フェンダーローズ、シンセベース等の電子楽器によるエレクトリックなサウンドが空間を支配している中で、アンバー・ナヴランの甘く優しい歌声が響く…2000年前後のBaduizm / Erykah BaduWho Is Jill Scott? / Jill Scottはもちろん、昨年リリースされたThe Heart Speaks In Wispers / Corinne Bailey Raeの雰囲気も。(余談ですが、ジル・スコットは本作について''Love''と、たった一言で絶賛しています。自身が作り上げた21世紀のソウルが、2017年の現在にもキチンと受け継がれていることが嬉しくてたまらないのかな~)

しかしながら、アルバム全編を通して「よりオーガニックに」というのが、ムーンチャイルド側にとってのキーワードであるように思います。エレクトリックな要素を強くすると生楽器は「あくまでも飾り」として埋もれてしまうし、生楽器に寄せすぎるとイージーリスニングっぽくなり、R&B的なタイトさに欠ける…本作は、この辺のバランスが本当に絶妙。バンドメンバー全員が管楽器(サックス、クラリネット、フルート、トランペット)を演奏していることもあり、飛び道具としてではなく、ごく自然に生楽器のサウンドを取り入れています。もともと音大のジャズ科で結成されたグループなだけあって、楽器の腕前もバッチリ。
また、いくつかの曲でストリングスが起用されていますが、「ハイ、今ストリングス使ってますよ~!今っぽいでしょ~!聴いて~!」というヤラシさは一切無く、非常に好感触。薄味ながらも、本作におけるオーガニックさを引き立てています。

そして、ソウルクエリアンズ(つまりJ・ディラ)からの影響を公言しているように、ビートは1つ1つがずっしり重め。CureやEvery Part (For Linda)のようにストレートにノレる曲もあれば、Hideawayのようにドラムが後ろに引きずるビートもあったり、6amやLet You Goのようにボーカルやシンセがレイドバックする曲もある。先人たちを研究し尽くし、取り込んだ様々なビートが、このアルバム1枚で楽しめます。Spotifyで公開されている、Voyagerを完成させる上でインスパイアされた曲を纏めたプレイリストからもそのルーツが垣間見えます。こういうのは黒人アーティスト(とピノ・パラディーノ(笑))の専売特許だと思い込んでいたので、ちょっとビックリ。バンドの見た目的にも、やらなさそうだし…

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男2人を従えるエロティックな女性…某ゾン某えみ?

ところで、ムーンチャイルドのサウンドを初めて聴いたときに、昨年リリースされ、グラミー賞の新人賞およびアーバン・コンテンポラリー・アルバム賞にもノミネートされた、We Are King / Kingを真っ先に思い出しました。

The Greatest / King: 昨年亡くなったボクサー、モハメド・アリを讃えた1曲。粒揃いのWe Are Kingの中でも、キラーチューン的な立ち位置。日本のゲームに着想を得たというレトロなPVも人気。

スムーズでドリーミーなサウンド、というトコロに共通点はあると思いますが、キングは分厚く重ねたシンセを基軸に、曲は川の流れのようにスルスルと前進していく印象。総指揮を務めるパリス・ストローザーが弾き倒すシンセの上で、アンバー・ストローザーとアニータ・バイアスが優しく歌う…2人の歌には黒人女性的なセクシーさと同時に、シッカリした芯の強さがあります。体躯の良い笑顔の3人組は、キュートで親しみやすさもありますね。

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こうやって比較してみると、共通点が多く似ているようで、実は真逆の性質を持つ2グループでした。どちらが良い、ではなくて、どちらも良い。こうしたが付くほどメロウでナウいアルバムが2年連続で出ることがとても喜ばしいのデス。。。

そんな話題沸騰中のムーンチャイルドですが、ブルーノート・ジャズフェスティバル2017への出演が決まっている他、丸の内コットンクラブでの単独公演も予定されています。生演奏だとどのように印象が変わるのか、この目で見て、この耳で聴きたいなあ。

Voyager [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC549)

Voyager [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC549)